「‥‥‥‥はぁぁ」
ため息が盛大に溢れた。

眉間をギュッと引き寄せて片側の唇だけ上げたからか、上げた方の頬がひくついた。


「なんちゅー顔してんの」
ププッと吹き出す美月。

‥‥あんたにゃ分かんねぇだろうさ。
こーんな処女(プレミアム)な17歳の悩みなんて。
分かってたまるかこのやろう。

昨日誕生日で
17になったばかりで。

こんな幕開けになる私の気持ちなんて美月は分かんないよね。


肩を落として美月に背を向け、手洗い場の前で立ち止まる。


蛇口を弛めて、ジャーっと出てくる水に手を突っ込んだ。
‥‥あぁ冷たくてキモチイ。

隣で鏡チェックしてる美月は
「‥‥あー。あのさ昨日ラインで話してた事、内緒でよろしく」


長い前髪を指で梳(す)いて、ポケットからリップを取り出した。



アライグマ並に、両手をシャカシャカしてたのを止めて

ん?

と、眉を上げた。


‥‥ライン?

あー。したっけ。昨日。
お誕生日おめでと。とか‥‥


頭に過る美月とのライン。
だがしかし
秘密にするよーな内容は一切思い出せない。

というより
昨日はひたすら凹み過ぎて
誕生日おめでと。の返事すらろくにしてねーし。