その人を私は知っていた―――――。








『では―――転任してきた先生を――――』


校長先生の声がスピーカー越しにグラウンドに響いて


朝礼台に一人の男性教諭が上る。



きちっとスーツを着ていて、栗色の髪が風に揺れるのが、私が立ってる場所からも見えて。



『初めまして―――――○○高校から転任してきました、長谷川一成(はせがわ いっせい)です。

二年A組の担任で――――――』




その名前に
心臓がバクンと強く跳ねた。



‥‥なんで?
どうして?



それが頭の中でグルグルと旋回して、きちんと話は聞けない。




高校二年になった初日

担任が

初恋のいっくんだなんて

そんなの予想すらできないじゃん―――――