その後、住谷あさこと名乗ってくれた彼女と私はメアド交換をしてから、別れることにした。
ライブの準備しなきゃいけないから。
「じゃあまたメールするね!」
「うん。私もするから」
そう頷くあさこに手を振って、私はずっと横で待っていてくれた紅志に向き直った。
「さて、岡崎さん!早く行きましょう!」
ああ、と浅く頷いた紅志は爽やかな笑みを口元に浮かべ、サングラスを外した。
「やっぱりサングラスは見にくいな」
「エエッ?好きでかけてたんじゃないんですか?!」
「いや、目立つから海斗がかけてけって」
「や、それ絶対ワザとですよ」
紅志がサングラスなんかかけたら逆に目立つっての!きっと海斗に遊ばれてんだこの人。
「なんでワザと?」
そう呟いて首を傾げる紅志を横目に見ながら、この人は見た目をかなり裏切って天然なんじゃないだろうか、と思った私だった。