悔しそうにそう話す彼女の様子を見ていたら、なんだか申し訳なくて仕方なくなった。その反面、スゴく嬉しくもあって。

「ありがとう!!」

そう言いながら私は目の前のその子に抱き付いてしまった。

「ちょっ!ちょっと!?なにすんの?!」

当然の反応だよね、うん。
私はパッと彼女から離れて、笑って伝えた。

「嬉しかったんだもん!私の音、好きって言ってくれて!」

「な。そ、それは!そうだけど。でも、私はベースの音が好きなだけで、あ、あんたなんて大嫌いなんだからっ!」

微かに照れたような様子で口を尖らせる彼女に、私は満面の笑みを見せる。

「それでもいい!バンドの音を好きになってくれれば、それだけでいいよ!ね、岡崎さん?」

私は彼女の両肩をしっかり掴みながら、傍らの紅志を見上げた。