「どうしたんですか、それ!?」

いきなり横から声が飛んできた。驚いて振り向けば、そこにいたのはふわふわのレースの塊、もとい、あのゴスロリくんだった。

「あ……ちょっとね、火傷しちゃって」

苦笑いで答えた私の隣に、綺麗なスカートの裾が汚れるのも気にせず、ゴスロリくんはしゃがみ込んだ。氷で冷やしてる私の手をそっと包むように触れる。

「わ、痛そう。大丈夫ですか?これじゃベース弾けないじゃないですか」

形の良い眉をハの字にして悲しそうな顔をした彼は、心配そうに私を見つめてきた。

「誰がこんなこと……」

うわ。めちゃくちゃ心配してくれてる。なんか嬉しいようなくすぐったいような。

私は、心配ないよ、と笑って返してゴスロリくんの肩に手を乗せた。

「だ~い丈夫!こんなのすぐ治るから、ね?!心配しないで」

自分にも言い聞かせるように声を張った。でなきゃ今にも悔し涙が出てしまいそうだったから。

「もしかして歌夜さん、海斗さんたちのファンから恨まれてたり……?」

隣に座る彼がポツリと言ったひとことに、胸がドキリ、大きく打った。動揺しちゃいけない、そう思ってるのに。

「えへへー、なぁんかそうみたいなんだよねー。まあ仕方ないよね、私まだまだ下手くそだもん。あの二人とやれてることが奇跡だよ」

誰だって私が不釣り合いだって思うだろうな……。