その17分後。私は海斗の部屋で固まっていた。

「な、何やってんすか?」

ドアを開けた格好のままポカンとする私に、海斗は振り返った。

「あ、歌夜だ!どうどう?似合う?!」

得意げに私の方へ迫ってきた海斗の顔はどぎついビジュアルメイク。
その濃い顔で私に近づいてきた。

「キ、キモイわ~!このバカ!近寄るな!」

バタンッ!!

「あうっ!!」

反射的にドアを閉めてしまった私。

「あ……」

やばぃ……。

再びそぉ~っとドアを開けて見ると。

「ヒ、ヒドい、歌夜……」

鼻を押さえてうずくまる海斗がいた。

「ご、ごめんなさい。だってそのキモいメイクが……」

そう言って海斗の顔を指差すと、部屋の奥でソファに座ってギターをジャカジャカ弾いてる紅志が口を開いた。

「今度のライブに向けて色々と試行錯誤だと。まあ、どう考えてもソレはないな」

「はぁ……ってか、こんなのどうでもいいけど、ドラマーはどうするんですか?!」

「こんなのって、冷たいな~、歌夜」
 
いまだ私の足元でいじけてる海斗は無視して、私は部屋に上がり、紅志の方へ向かった。

そう、今日学校で葵に言えなかったこと。

実は二週間後の金曜日、ライブをすることになったのだ!