ダンッ!!
重い音と同時に男子生徒の背中が勢い良く地面に叩きつけられる。
「よし!決まったぁ~背負い投げ!」
あ、私、中学卒業まで柔道やってたんだよね。
思わずガッツポーズをとる私を見て、残りの三人が顔をひきつらせてる。そっちに向かってニンマリ笑って見せると、ビクッとした様子で彼らは早足で逃げていってしまった。
「二度とこの子に手ぇだすな~!」
私はその背中に叫んでやった。
それから後ろを振り返って、いじめられてた男子生徒に近付いた。
制服の脇腹、腿、二の腕辺りに蹴られた靴跡が付いている。酷い。
「大丈夫?歩ける?……ったく最低な奴らだね、アイツら」
私はそっと制服についた靴跡を払ってあげながら彼の顔を覗き込んだ。
あ……ホントに女顔だ。可愛い……。
一瞬見とれてしまっていた私に、目の前の彼は口を開く。
「あ、ありがとうごさいました」
私には目線も合わせず、俯いたまま小さく会釈をして、その男子生徒はくるりときびすを返すと校舎へと走り去ってしまった。まるでさっきの不良たちと同じく、逃げるように。あとに残された私はちょっと肩すかしくらった気分。
「なに……助けてあげたのに、あの態度?」
少しだけ腹を立てながらも私は裏門へと再び向かうことにした。
その時、何か引っかかった。
あの顔……どっかで見たことあるような……?
でもいくら思いだそうとしてもわからなくて。
私の記憶力、もうヤバいかな?なんて思ったり。