翌日。
私は高校の教室でぼんやりと窓の外を眺めてた。
頭の中では昨日紅志に言われた言葉がグルグル回ってる。
あぁ~、本当なのかな?どっきりじゃないのかなぁ~?
はぁぁ~~、と長いため息を吐いた私の肩を、誰かがポンと叩いた。
「なぁにボーっとしてんの?最近歌夜おかしくね?」
振り返れば、爽やかな笑顔を浮かべた親友の羽田葵が立ってた。
サッパリと短く切った髪にスラッとした体型。バスケ部だからか性格が体育会系でサバサバしている。みんなから好かれる姉御肌だ。
「あぁ、葵かぁ……」
脱力した声で答えた私に葵のチョップが頭に飛んできた。
「私で悪かったな、なんだよ~歌夜がそんなおとなしいと不気味だよ」
「う~ん、ちょっとさぁ……」
私はまだ誰にもバンドのことを話してなかった。
葵になら話してもいいかな、と葵の顔を見つめた後で話を切り出した。
「あのさ……」