私と握手をすると、彼は可愛らしい笑顔を見せ、帰って行ってしまった。
「本当に男の子だったのか……ちょっとショックだ俺」
しょんぼりとしゃがみ込む海斗を横目に私は浮かれ気分だった。
ファン!私のファン!う~れ~し~ぃ♪
ハイな私とブルーな海斗、二人を見てため息をついたのは、もちろんクールなギタリストだ。
「なあ……ちょっと話があるんだけど」
え?と私たちは紅志の顔を見つめた。その表情がいつになく真剣で硬い。
「ま、まさか!紅志、今のゴスロリちゃんを歌夜にとられたのが悔しいの?!そういう趣味だったのぉ~?!」
海斗がわざとらしく紅志の肩をスリスリとヤらしい手つきで触る。
「違うわボケェッ!!」
「いてっ!!痛いよ紅志~。歌夜ぁ~、紅志がイジメる~!」
「海斗が悪いんじゃん、私は知りませ~ん」
ぷいと横を向いた私に海斗が、えぇ~、と情けない声を出し、更に紅志が自業自得だ、なんて言うのを聞いてたらなんだか笑えてきてしまった。
なんだかんだ二人は仲良しだなぁ~。
「だぁっ!もう手を離せこのバカ海斗!!」
紅志が腕にすり寄る海斗の顔をぐいぐい押し退けながら、更に言葉を続けた。
「俺が話したいのは……」
この後の紅志の話に私は唖然としてしまったんだ。