――ひとしきり叫んだ後、赤信号で停まった時に私は海斗に聞いたんだ。

「ねぇ、どこまで行くの?!」

海斗は答えた。





「歌夜の行きたいところならどこまででも!」





――ドキン。



私の鼓動が、その瞬間16ビートに変わった。気がした―――。





「じゃあ音速でぶっ飛ばして!!」

「りょ~かい!ちゃんと乗ってろよ!!」

笑い声と共に、海斗は再びバイクをスタートさせた。





「ありがと、海斗」





目の前の広い背中に小さく呟いた声は、バイクのエンジン音に呆気なくかき消されていた……。