紅志のバイクを振り返れば、ヘルメットをしっかりかぶった珪甫が、紅志の背中にちゃっかり張り付いていた。
「な!?」
むきーーーっっ!!
そこは私の場所なのにぃぃ~っ!!
「早い者勝ち~!たまにはリーダーにもサービスしてあげな。歌夜がいなきゃこの人歌えない~なんて言うんだからさ」
「わわわっ!ケイ!そんなこと言わなくていい!」
あれま、紅志どころか海斗まで珍しく顔が赤い。
「ていうか早く行きなよ、あんたら」
登が冷たい一言を言い放った。
それから葵が私にすっと近寄って。
「良かったな、またバンドができるね」
「うん。ありがとう葵」
「いいえ~、私はな~んもしてないよ」
爽やか笑顔で言いながら彼女は私の背中を押してくれ、その反動で私は海斗のバイクに跨った。
うわ……なんか、コワい!
「歌夜、ちゃんと掴まってないと落ちるぞ!」
「は、はいっ!」