「ちょっ、その決め台詞、教えてよ~!」
笑いすぎてひぃひぃ言ってる私の声に、紅志が急いでそのメモをポケットにしまい込んでしまった。
「だめだ!歌夜には見せない!」
「なんで?!私に言うつもりだったんならいいじゃん!教えてよ!」
「だ~め~だ!」
「けち!紅志のけち~~!!」
私が紅志の腕を掴んで揺すると、彼の体がバイクごとユラユラ揺れた。
「ちょっ、待て!歌夜!ちょ、マジ転ぶ!止めろ!」
「教えろ~~!!」
さらに激しく揺れるバイクと紅志。
「わわわわかった!教える!教えるからやめろ!」
「よし!」
パッと手を離した私は、いつの間にか止まってた涙の跡を手でこすってから、笑顔で言った。
「はい、教えて?」
「海斗、言えよ」
「えぇ~紅志が言ってよ!恥ずかしいもん俺」
「てめぇが考えたんだろうが!」
「でも紅志のが似合うよその台詞。ねぇケイ?」
海斗はニヤリと笑って珪甫にパスを投げる。それに頷いた珪甫も、ニッと意地悪そうな笑みを浮かべて私と紅志を交互に見た。