私と海斗が見つめる視線の先で、申し訳なさそうに俯いてそこに立っていたのは。
そう。ゴスロリちゃん。
そよそよ吹く風に綺麗な金髪が揺れている。
やっぱちょー可愛い。私の目、ハート形に……ってそれ何回目だよ!
「あの……今の話、聞いてた?」
私がおずおずと問い掛けると、目の前のゴスロリちゃんは俯いたまま、コクンと頷いた。そして細い声で言った。
「本当に……男です、僕」
「僕って言った……」
「男って認めた……」
「やっぱり……」
私、海斗、紅志はそれぞれにこの可愛いゴスロリちゃんを見つめながらしばし静止してしまった。すると注目の的になってしまったゴスロリくん?は恥ずかしそうに顔を赤らめながら手を伸ばした。
え?なになに?
「あの……ファンなんです!あ、握手してください!」
男の子にしては高い声で彼は細い手を差し出した。
「おぉ~!握手だって!海斗さすがだね~!」
私が手を叩きながら海斗の顔を見上げると、慌てた様子でゴスロリくんが声をあげた。
「あ!違っ、あの、か、歌夜さんにお願いしたくて……」
私の方を見て言う彼。
「え?わ、私……?」
自分を指差しながらぽかんと口を開けた私の背中を、海斗がポンと叩いた。
「すげーじゃん歌夜!ファン第一号だぜ~!良かったなぁ!」
ニコニコ笑う海斗につられて私も笑顔になってしまった。
め、めっちゃ嬉しいんですけど!
「あ、ありがとう!私なんかでいいなら……はい!」
感動しながらも私は手を差し出した。
ファン一人ゲット~~!!
心の中でガッツポーズをした私だった。