「歌夜……俺達とバンドやるの嫌い?」

「……好きだよ」

「ライブ、つまんない?」

「楽しいよ」

「俺達のこと、嫌い?」

「……大好きだよ、当たり前じゃん」



胸が、苦しい。俯いた目の前に見える自分の制服が、ぼやけた。



「じゃあ大丈夫!俺達も歌夜のこと大好きだから!」

海斗がにっこり微笑んだ。

「……なに、それ?」

「だから、周りがさぁどれだけ喚いたって、バカな奴らにどれだけちょっかい出されたって、俺達が真剣に、愛を込めて音を出してれば絶対に解ってくれる奴はいるんだよ」

自信満々で話す海斗を、私はゆっくりと顔を上げて見た。その顔は柔らかな笑顔。

「歌夜がいなかったらPRISONERの音、完成しないんだよ。で、だから……えっと……あれ?何だっけ。決め台詞忘れた……」

間抜けな声を出して海斗は紅志のことを振り返った。助けを求められた紅志は紅志で、何故か慌ててジーンズのヒップポケットに手を突っ込んだ。

………?