「これこれ!結構前だけどさ、紅志が言ってただろ?夏の野外ライブイベントに応募したって。あれ出れるんだよ!」
笑顔で白い封筒をヒラヒラと掲げている海斗。
「え……あ!!」
思い出した。そう言えばそんなこと言ってた!
あのイベント出られるんだ。
「す、凄いじゃん!頑張ってよ!……私は、応援してるから、さ……」
言いながら思わず俯いてしまった私。
どうしよう?もう一回バンドがやりたい、なんて……本当に言ってもいいのかな?図々しいって思われないかな?
「か~や?」
海斗がヒョイッとバイクから飛び降りて、私の顔を覗き込んでくる。
「俺達さ、歌夜がいないと駄目なんだよ~。お前のベースが鳴らないとPRISONERになんない」
「でも……」
その海斗の目線から逃れるように私はさらに下を向く。