「だから!!私がバンド辞めれば全部解決なの!!」

溢れ出す涙を見られたくなくて、それが目からこぼれ落ちる前に私はそれだけ言い放つと、ベースも持たずに控え室を飛び出した。

「歌夜……っ!!」

誰かが私を呼んだけれど、振り返れなかった。

振り返ったら、走れなくなりそうだったから。

グイッと右手で涙を乱暴に拭って、私はライブハウスから駆け出した。

グチャグチャになった顔も気にせず、キラキラとネオンの輝く夜の街を走り続けた……。