振り返った私のその顔を紅志が覗き込んだ。
「どうした?アキトさんに何か言われてたけど」
「え!?あ、いや何も……ボーっとしてちゃダメって言われただけ。ね、それより海斗とケイは?」
「控え室だけど……本当に何もないのか?」
怪しがる紅志をどうにか誤魔化して、私は海斗たちのいる控え室へと向かった。
動揺してる自分を気付かれないように。
控え室にはすっかり片付けを終えた海斗たちが待っていた。
「お、歌夜、目が覚めたか~?」
「立ったまま寝てたの?」
それぞれの言葉に私は苦笑いを返した。
「ごめん、なんかボーっとしてて」
「そういえば腕、大丈夫か?痛むだろ?」
心配顔の紅志が、そっと私の腕に触れた。
「ん、平気。さっきスプレーしたから今は大分良くなった」
「ならいいけど……。その怪我、どうしたのか説明してくれよ」
「うん……」