……え?!
目を丸くして長身の彼の顔を見上げると。パチリ、片目を閉じてもう一言。
「それはダメだよ、絶対」
「や、あの。私は別に変なことなんて」
「でも君のその顔は、何かを思い詰めてる顔にみえるけどな」
「う……」
私が言葉に詰まっていると、控え室に向かおうとしてる紅志が私の名前を呼んだ。
ヤバ、この話聞かれたら……。
「あまり気に病んだら駄目だよ。歌夜ちゃんのベース、俺も好きだから」
そう言ったアキトさんは、柔らかい笑みを浮かべて私の肩にポンと触れて、控え室へと向かっていってしまった。
何でバレたのかな?私の思ってること。そんなに顔に出てたのかな?
「歌夜?」
「はーい!」
紅志の呼びかけに元気良く答えて、私は無理やり笑顔を作った。