ＶＯＩＣＥ

私たちPRISONERは毎週土曜と日曜に路上ライブをした。いつものあの場所で。
ライブに少し慣れてきてわかったこと。それは海斗と紅志のファンが結構いることだった。

毎回見に来る子が結構多い。意外と人気なんだ。ってまあこの顔なら当然だよね。

明らかに海斗の天使の笑顔と、紅志のクールな姿に集まってる女の子たち。この中に純粋にオトに惹かれてる子、いるのかな？

私はベースを弾きながら、地面に座り込んだり、携帯電話で海斗たちの写真を撮ったりしてる子たちをこっそり観察した。

……あれ？あの子。

私たちを囲む十数人の中。私から見て左側、つまり紅志の前あたりに他の女の子達とは雰囲気の違う子がいた。

黒のワンピース。スカートはふんわりと膨らんで、裾はヒラヒラの白いレース。胸元や袖口にも同じレース。あとは……ヘッドドレス？よくわかんないけど。

ゴスロリちゃんがいる……しかも可愛い！

サラサラのストレートヘアは金色。ぱっちりした瞳に、マスカラばっちりの長い睫。ふっくらしたピンクの唇。

お人形さんみたいな子だった。
でも……。なんか、違和感があるような？

私は彼女を気にしつつもベースを弾いた。
あまりよそ見ばかりしてたらまた海斗たちの音についていけなくなるから、しばらく演奏に集中する事にした。