ベースを弾きながら、私はオーディエンスと同じように、海斗の歌声に聴き惚れていた。 少し切ないその歌詞に、不覚にも涙が込み上げそうになる。 ――このライブが終わったら、みんなにたくさん、たくさんお礼言わなきゃ。 葵に、登に。父さんにも。 ナオヤさんやアキトさんにも助けてもらった。 それからもちろん。 珪甫と、海斗と……紅志にも。 みんなに「ありがとう」って。 それから――――。