まだ何か言いたそうな顔で私から離れた海斗は、一度珪甫に言葉を掛け、次は紅志と一言二言、言葉を交わして再びマイクを握った。


「はい、もうそろそろ終わりで~す!」


エーーッ!?
やだ!


そんな声が飛んでくる中、海斗はいつものあの天使の笑顔を見せた。
オーディエンスがキャーッ!!って盛り上がる。


そんな中。


「はい、じゃあラスト1曲です!!」


……え?!1曲?!


私が驚いて海斗の横顔に目をやろうとした時、その向こうにいる紅志と目が合った。


その紅志の指先が私の方を指差したあと、彼の左腕を示した。


―――――ッ!!!