少し長めのイントロの終わり、ステージ袖で控えていた海斗がゆっくりステージに姿を現した。


オーディエンスの表情が少し、変わる。笑顔になったり、声をあげたり。


やっぱボーカルは人気あるなぁ……。


マイクスタンドから、スムーズな動作でマイクを引き抜いた海斗、すうっ、と息を吸い込んだ。


その、形のよい唇が動いて。


吐き出された、声。





その透明な声は、オーディエンスを包むように広がって、飲み込む。


彼女たちの熱を、上昇させた。