薄暗いライブハウスの中。マイクスタンドだけが照らし出されていた。


私と珪甫、紅志がステージにあがると、拍手と歓声。


この中にどれくらい、私たちのこと知ってる人たちがいて、好きになってくれる人たちがいるんだろう?


そんなことを考えながら、背後に珪甫のドラムのカウントを聴いた。


―――3、2、1


思いっきり右手を弦に振り下ろした。


同時に紅志のギターの音がかぶさってくる。
アップテンポのイントロ。


弦を押さえる左腕、少しだけ痛かったけど。
大丈夫、これくらいならイケる。そう思えた。