「そんなっ!?そんなのやだよ!ここまできて諦めるの?それじゃアイツに負けたも同じじゃん!」
反射的に私は言い返していた。
涙でぐちゃぐちゃの顔で、海斗を睨み付ける。
「じゃあどうするっての?紅志のギターなしでやれんのか?」
「……っ」
紅志の音なしに演奏なんて、無理に決まってる。
全員の音がなきゃ、PRISONERになんない。
「わかってるよ……わかってるけど……、こんなの、悔しいじゃん」
まんまと敦士の思惑にはまって、ライブできないなんて……最悪じゃん。
私達がそんな最悪な状態で押し黙ってしまった時、場に似合わない、スタッフの声が聞こえた。
「プリズナー準備お願いしまーす」
その声は私の心臓をギュッと、締め付けた。
「俺、説明してくるわ」
海斗がそう言ってスタッフの方へと向きを変えた。その刹那。
「待って」