それからしばらく、Sakuraの迫力のステージを息を飲んで見学していた私たちだったけれど、そろそろ自分達の準備をしなきゃってことで、一旦控え室に戻ることにした。

念のためもう一回スプレーかけておかなきゃ。

そう思って、私は控え室に戻る前にトイレに寄ってこっそり腕にコールドスプレーをかけた。そして鏡を見て髪型を整え、自分の顔をじっと見つめる。

「……よしっ!頑張るぞ!」

自分の顔に向かってニコッと笑ってみる。

この笑顔で最後まで弾いてみせる!

腕はもちろん鈍い痛みを伝えてきて、赤く腫れていたけれど。

「大丈夫!やれる!気合いだ、気合いだ、気合いだ~~っ!!」

無意味に連呼してから私はトイレを飛び出し、海斗たちの元へ戻った。

……んだけど。





「なに、これ……」