なんだかんだ、BLACK NOISEのライブもあと一曲になって、次はSakuraだった。
「ねぇ!袖から見ててもいいと思う?」
海斗たちが上手だって言ってたバンド。どうしても見てみたくって、私は紅志に訊いてみた。
「いいんじゃね?邪魔にならないように見に行ってみるか?」
「あっ!俺も見たい!!」
「なら俺も……」
ってな具合に、結局は4人全員でステージ袖までぞろぞろと。
ちょうど演奏が終わった敦士たちとすれ違ったけど、さすがにライブ直後なだけあって何もされなかった。ホッと胸をなで下ろした私だ。
Sakuraには4人のメンバーがいた。私たちと同じ、ボーカル、ギター、ベース、ドラム。
違うのはボーカルの人もギターを持ってるって事くらい。
だと思ったのに。
「なんか、すごい」
彼らの演奏が始まって私が言えたのは、その一言。
ステージ衣装は特に着飾ってなくって、カジュアルな服装。その辺を歩いてそうな、軽そうな外見の男の人たちなのに。
圧倒的に負けてる。そう思った。
ハコの中を揺らすほどのロックな音。
ボーカルの声は暴力的にオーディエンスに叩きつけられるのに、どこか艶のある、魅力的な声で。
伸びるギターの旋律と、その後ろを掠めるようにちらほらと自分を主張するベース。
でもそのバランスがちょうど良くて、それらを支えるドラムの音は、華やかにリズムを打ち出していた。