「あー、どうも、久し振りだね。歌夜ちゃん、だったよね?」

「はい!」

機材などを運び込むための裏口の前で、壁にもたれながら煙草を吸っていたのはアキトさんだった。

“音速メテオロイド”のドラマーだ。

「今からリハ?頑張ってね」

ふんわりと柔らかい笑みを浮かべて言ってくれたアキトさんに、私は。

「歌夜ぁ~。またまた鼻血出そうな顔してるよ……」

呆れた海斗の声が聞こえたけど、気にしな~い!

笑顔のアキトさんに手を振って、私たちは裏口からライブハウスの中へ入って行った。





「お。来たなお前ら、今日もしっかりやれよ!」

入るなり声を掛けてくれたのはこのハコの店長。そういえばこのオジサン、登のお父さんなんだっけ。
よく見れば何となく似てるような気も、した。

店長は私たちの背中を順にバシバシ叩いて、別のバンドにも声を掛けに行ってしまった。

「い、痛い……」

店長、力強すぎだっつーの!!

私は苦笑いでジンジンする背中をさすった。