――数分後、ガッチガチになりながら手を繋いだ私達は海斗の家に着いた。部屋のドアを開けてはいるなり。
「おっはよ~歌夜、紅志!って、手ぇ繋いでるし!」
「ホントだ。キモい」
海斗と珪甫が順に口を開いた。
「キモいってなに?!失礼じゃない?!」
「キモいんだもん。ていうかバンドに恋愛持ち込みはご遠慮願いたいね」
「う……」
反論出来なくて、私は唇を尖らせた後、珪甫に向かって思いっきり舌を出してやった。そしたら仕返しとばかりき珪甫も舌を出してくる。
くぅ!ムカッ!!
そして、今さっき紅志の手から離したばかりの私の左手を、海斗がむんずと握りしめてきた。
「は?」
「いいなぁ歌夜~!紅志と手ぇ繋げて~、俺にもその温もり分けて~!」
そう言いながら私の左手を自分のほっぺにスリスリこすりつけた。