「よ~っし歌夜!完璧!これでライブの客はお前にメロメロだぞっ!」

「ありがと父さん!やっぱ最高!」

7月20日、ライブ当日。私は父のお店でヘアメイクをして貰ってた。
今日は髪をいくつかにまとめてモヒカン風に逆毛を立ててもらって、パンクロックな髪型がバッチリ決まった。

白いポロシャツに赤と緑のチェック柄ネクタイと、同柄のプリーツスカート。もちろんミニ。足元は黒のラバーソール。

「よ~し!」

気合いを入れて、ベースを持ってもう一度父にお礼を言った。

「歌夜、これ持ってけ!」

ポン、と父が何かを投げた。

「ぅえっ!?なに?」

パシッと受け止めた私の手に飛び込んできたのは……シルバーのスカルリング。

「これ……父さんの宝物じゃん!?」

母さんからの……最後のプレゼントだった思い出の指輪。

目を丸くして見上げた父の顔は、満面の笑み。

「今日だけ貸してやる。お守りだ!楽しんでこいよ~!」

「……マジサンキュー!父さん!」

緩い指輪を、指ではなくネックレスのチェーンに通して、私は店を飛び出した。

さあ!ライブ、行きますか!

皆さん心の準備をしてくださいね!



……って私今、誰に話し掛けた?