「………」
カチ、カチ、カチ、……
静かな部屋に無機質な音だけが響く。
ぼんやりと歌夜の嬉しそうな笑顔と、紅志の照れくさそうな顔が交互に浮かんだ。
それと同時に、チクリと微かな胸の痛み。
俺はしばらくその場で寝転がったままでいた。
メトロノームのリズムだけが時が過ぎるのを知らせているのを聴きながら。
「あぁっ、もぅっ!!ガラじゃないんだこんな感傷的なの!!」
我慢できなくなってガバッと起き上がった俺は、そう叫んでいた。
「俺にはバンドが一番!バンドが恋人!歌が愛人なの~~~っ!!」
あ、このことはアイツらには内緒ね~、マジで。ホント。