私はびっくりして海斗の顔を見つめてしまった。
目の前20センチのところにある彼の顔は相変わらずニコニコ。

嘘、じゃなくて?

私はそのまま視線だけずらして紅志の顔を見た。

そしたら彼は携帯をいじるのをやめて、私の方を見てた。
その整った顔が、瞬間、フワッと微笑んだ。

うぉっ!悩殺っ!……じゃなくて!マジでホントに?

私はもう一度正面に視線を戻して海斗を見た。

「ほ、ホントに?」

「ホント」

海斗は笑顔で返事をする。

「ホントにホント?」

「ホントにホント」

「ホントにホントにホント?」

「ホントにホントにホントです」

「ホントにホ……」

「やめんかっ!お前ら!」

……あ、また怒られた。





こんな感じで私はこの日、見事バンドの仲間入りを果たした。

やった~!!嬉しい~!!

な~んて、お気楽に喜んでられるのは束の間だということを私は知らなかった。