「え?わ、私が決めるの?!」

驚いた私は、海斗を掴んでた手をパッと離してしまった。

「わわっ!ちょっ、待っ……!」

急に掴まれてた力がなくなって、海斗はよろけた。そしてまた。

ドンッ!

……今度はしゃがんで煙草を吸ってた紅志の膝の上にのっかってしまう。

「………」

海斗の顔をジッと無表情で見つめて、紅志は言った。

「お前ら……二人ともいい加減にしろ……」

低くて静かな怒りのこもった声。

お、怒ってる……。

「「ごめんなさい」」

即座に私と海斗は声を合わせて謝っていた。

キレたらとんでもなくコワそうだ。

私はこの人だけは怒らせないようにしよう、と心に誓った。

「じゃれてないでさっさと決めろよ、バカ」

地面に落ちた吸いかけの煙草を拾い上げ、気にせずまた口にくわえた紅志は意外にも柔らかな声で海斗を小突いて膝の上から転がり落とす。

「おぅ、ごめんごめん。じゃあ今度は真面目に」

そう言った海斗はちょこんと紅志の隣に座って、私を見た。くりくりと丸い目がこっちを見つめる。

「ねぇ歌夜、さっき合わせてみてどう感じた?」

「え?」

急にそんなこと聞かれた私は一瞬言葉につまった。

どうって……。