思い切り蹴り上げた私のハイキックが、海斗の肩辺りに決まった……。
と、思った。でも。
「え……岡崎、さん……!?」
私の足先は岡崎紅志の後頭部に当たって、た……。
な、なんで?
私が驚いてフリーズしてたら、横から慌てふためく声。
「わぁ~っ!!紅志!大丈夫かっ!?ナニしてんだよ歌夜!」
海斗が頭を抱えて座り込む紅志の顔を覗き込んだ。どうやらギターをケースにしまい終わって立ち上がったところに、私の蹴りが飛んできたみたい。
「すいません!大丈夫ですか?!怪我してないかな……あぁもう、ホントごめんなさい!」
私も座り込んで彼の様子を確かめた。
「大丈夫、たいして痛くないから。心配すんな」
帽子を取って頭をさする紅志の顔を初めて間近でみた私。
「おわっ!!」
「おわ?え、何?」
眉を寄せて私を見返したその顔。
彫刻みたいに彫りの深い顔立ち。冷ややかな目元は奥二重、そこに長い睫が綺麗に並んでた。
いや~っ!かっこよくね?!
私の目、ハートになってんじゃないかな?
あれ?この台詞どっかで聞いたような……。