数分後、俺はライブハウスの裏口にいた。
「俺達の為に叩いてくれねぇ?」
そう言った男の顔。
俺はまじまじと見て、確信した。
「あんた……岡崎紅志?」
俺の問いに驚いた顔をして頷いたのは、確かに岡崎紅志その人。
見つけた!!
冷静な顔を保ちつつも、俺の心の中は嬉しさでいっぱいになっていた。
2年も、2年も探したんだ!やっと見つけた!
顔がカッと熱くなるのを感じた。
心臓が速く鼓動を打つ。
手のひらで胸を押さえたい程に速い。
微かに唇が震えるのを悟られないように、俺は口を開いた。
「いいよ、やっても」
ずっと探し求めてた彼のギターに、また、巡り合えたんだ。
もう、俺はその音を絶対に逃さない。
そう強く、思った。
そして願った。
もう二度とこの音を見失わないようにと。