似てる!
一曲目でそう感じた。
このギターの音色、あの人の音に。
控え室の隅で、俺はあの時と同じ様に固まってしまっていた。ギターの音をいち音も聞き漏らすまい、そう思って。
気がつけば、彼らの演奏は終わり、そのメンバー達が俺のバンドのリーダーと話していた。
あぁ……また意識どっか行ってたんだ、俺。
そう思って、ふと彼らに目を向けた時、背の低い高校生っぽい女と目が合った。
びびった様子で目を逸らしたそいつには、別になにも感じなかった。
でも、その横にいる帽子を被った背の高い男。その男に俺の目は釘付けになる。
……まさか、な。
だって、俺の記憶の中の彼とは印象が全く違ったから。
あの人は、もっと全身から刺々しいオーラを出して、他人を寄せ付けない雰囲気だったはず。
あの人の音は、もっと鋭くて、全身を突き刺されるような音だったはず。
そんなことを考えていると、バンドリーダーが俺の名前を呼び、手招きした。