今度は海斗がいじけて紅志の背中にべったり張り付く。
むかっ。
私もくっつきたいわ!
ていうか。
「ま、ベースのことはいいとして。ドラム、スゴいよね!えっと……珪甫、くん?」
さっきからドラムセットに座ったままの珪甫に話しかけると、無表情だった彼は急にふっと鼻で笑った。
「アンタは下手くそだよな」
グサリ。
言葉の刃が私に命中!
今日2回目だよ!
私は恨めしい思いで珪甫を睨んだ。
平然と涼しい顔をしてる彼に私より先に海斗が口を開いた。
「こら珪甫!歌夜にそういうこと言うなよ!もちょっと遠まわしに言えよ、傷付くだろうが!」
フォローした、つもりかなんだろうか。なんだか、結局は私が下手くそってことじゃん。
「海斗、それ、あんまり意味ないフォローだよ……」
「え?」
きょとんとして私を見る海斗。
呆れた顔で頭を掻く紅志。
珪甫までもが白けた視線を海斗に送った。
あぁ、今日の私の心ばズッタズタだよ……。