うわっっ!?
私は余りの音の波に立ちすくんでた。
ギターのうねる音はもちろん、ドラムの重さがハンパない!
お腹に響く!
それどころか心臓にまで響いてくる!
何このバスの重さ!聴いたこと……感じたことないよ?!
「すっげぇ……」
私の横で海斗が呟いたのが微かに聞こえた。
そして、ふと気付いた。
「ねぇこの曲……私らの!?」
「《PRISONER》だ!まじすげぇ!」
珪甫が叩いてるのは私たちの曲だった。
なんで叩けてんの?!有り得ない!!
驚きでポカンとしてる私の横で、突然、海斗がスゥ、と息を吸い込んだのがわかった。
……え?
そう感じたのも束の間。海斗のその喉から、透明な声が溢れ出した。
「うわ……バンドになってる!」
私が想像してた、理想のバンド像に限りなく近い形が目の前にあった。
ドラムが力強く支えるリズムの上を紅志のギターが走って。
そこへ海斗の声が乗っかって。
いやだ!最高!!
やっぱり生ドラムはいい!
そんな演奏を聴いてたら私も指がベースを弾きたくてウズウズしてきた。
よし!私も一緒に………って、あれ?
「あーーーーっっ!!!」
私のベース、海斗んちに置きっぱだ!!
てか誰も持って来てくれてないんだ!?
ショックゥ~。
私、力が抜けて床に座り込んでしまった。