―――さて、その13分後。私は海斗と一緒に見たことないお店の前に立ってた。
え?何ここ。
「海斗、ここって、楽器屋?」
息を切らしながら私は海斗を見上げて問い掛けた。
「そ。今からここで珪甫のドラム聴くんだよ!紅志がここのスタジオ借りてくれてたんだ」
「そうなんだ。じゃあ早く行こうよ、岡崎さん待ってるんでしょ?」
そう言って、私たちは店の中に歩を進めた。
入り口の自動ドアが開いた瞬間、かなりの音量の音楽が私の耳に飛び込んできた。
「わ……すご!!」
店内には沢山の楽器が陳列されていた。ギターやベースはもちろん、ドラム、キーボード、サックスにバイオリンも見える。
私は初めて入る楽器店の店内を口をポカンと開けたまま見回してしまった。
スゴい!ギターの種類だけでもメチャクチャある!
「ほら、歌夜行くよ。ここはまた後でね、早く行かないと紅志に怒られる!」
半ば本気で焦ってる様子の海斗に、私もはっとする。
「うん、行こ行こ!」
私たちは足早に店の奥へと向かった。