うわ!!なにこれ!?
声が、ギターとベースの音にかぶさった瞬間。
消された、と感じた。
海斗のクリアな、それでいて微かに掠れる声に。
私のベースは消えた。
嫌だ、おいてかないで!
ギターの音は海斗の声に消されることなく、鳴っている。
私は必死で弦を弾いた。痛む指先なんて気にならなかった。
スコア通りに弾いてるはず、なのになんだろう?どうしても二人の音にぴったりとくっついていけない。違和感。
焦る私に気付いたのか、間奏の間に海斗が私を振り返って口を動かした。
「大丈夫、落ち着いて。紅志の音に乗ってごらん」
海斗の声についてく……。
紅志の音に乗る……。
二人に言われたことがぐるぐる頭の中を回った。。
はぃ~?!ぜんっぜん意味わかんないっすけど!
私、頭悪いんだから!
そんなこと言われてもわかんない~~っ!!
思わず頭を抱えたくなってしまった。