「だから、歌夜を含めた俺達のPRISONERを受け入れてくれないんだったら……そんなファンは俺、いらない」
あ、なんかスゴく感動してきたぞ、私。
海斗の言葉に一気に落ち込んでた心が、少しだけ暖かくなった気がした。
「そんな……」
ファンでいてくれなくていい、と突き放されて呆然とする登は、悲痛な面持ちで海斗を見上げてる。彼の気持ちも、分かるような気がする私は、その表情に胸が痛くなった。
「ねぇ、海斗。やっぱり今の言い過ぎじゃ……」
「それに、もう新しいドラムも加わってるしね、そしたらお前、そいつにも嫌がらせするわけ?」
私が言いかけた上から、海斗はドラマーのことを口にした。
そしたら、登はえ?って顔して口を開けた。
「ドラマー!?え、なにそれ!?いつの間に決まったんだよ?!」
「昨日、かな。今から腕前披露してもらう」
その言葉に今度は私が目を丸くする。
「え!?今から?!」
「うん、それを言うついでに歌夜を迎えに来たんだ」
忘れてた、と言う海斗に、登が問い掛ける。
「ドラムって、どんな!?まさかまた歌夜みたいなど素人じゃないよね?!」
おいおい、酷い言われよう。
私は心の中でツッコんだ。
「んー?まだちゃんと音聴いてないからわかんない」
「ハ?なにそれ?!有り得ない!!」
「だーいじょうぶ。紅志がイイって言ったんだから安心しなよ」
自信満々で言う海斗を見ながら、私でさえ思ってしまう。
どんだけ紅志基準なんだ?盲目的に信じちゃってるよ。