「登、お前さぁ、歌夜の音ちゃんと聴いたか?そりゃ確かに、まだまだ素人の域を出てないけどさ。こいつの音には気持ちがたくさん詰まってるよ。音楽が大好きだっていう、な」
にっこりと笑顔を浮かべて言う海斗に、登は言い返してくる。
「でも!俺は二人の……二人だけの時の音楽が好きで!」
「んー、だったら仕方ないよな。登には俺たちの新しい音が受け入れてもらえなかった、ってことだろ?」
それほど残念そうな顔になってない海斗のその台詞は、まるで登を突き放してるみたいで私はびっくりした。
その様子に、登も戸惑ってるみたい。
「か、海斗、何もそこまで言わなくてもいいんじゃ」
「い~や、言う!なぁ登、登がさ、俺と紅志の音楽が好きだって言ってくれるのはスゴく嬉しい。でもな、俺達は歌夜っていうベーシストが欲しいと思ったんだ。だからメンバーに入れて、バンド名も付けた」
さっきまでのふざけた海斗じゃなくて、本気の海斗だった。
私は目を丸くして海斗の顔をじっと見つめる。
真剣にバンドのことを話す海斗から目が離せなかった。