登はそこまで一気に話して、言葉を切った。
私も海斗も無言。
校舎裏だから、近くを通る生徒は滅多にいない。ただ、遠くから聞こえる運動部の声が小さく響くだけ。
「二人のつくる音楽は俺の唯一の楽しみになってた。それがあったから、また学校にも出て来れたし、アイツ等からのイジメも耐えていられたんだ」
再び口を開いた登は、鋭い目で私を見つめた。
そのあまりの目力の強さに、思わず私は一歩後退り。
「なのに、いきなりアンタがメンバーに入ってきた。俺が大好きだった二人の音を、歌夜、アンタがぶち壊した!」
登が私を指差して言い放った言葉に胸がギュッとなる。
ぶち、壊した?
私が……?
その言葉に頭ん中いっぱいにされた。
なに?もしかして私、自分ではまあまあ頑張れてると思ってたの、あれは勘違い?自惚れてた?
もしかして、海斗たちも私に曲を壊されたとか思ってる……?
私はそっと海斗の横顔を盗み見る。そこにあるのは無表情な顔。
そこからは何も読み取れなくて、私は俯いた。顔があげられなかった。