だけど余計なことを考えてる暇もなく、海斗はカウントを始めてしまう。
「3、2、――」
あ~も~どうにでもなれっ!
私は指をベースの弦に向けて振り下ろした。
ビィン……!!
弦を弾いて曲を奏で始めた瞬間。
ギターの音と混ざり合った瞬間。
私は全身の肌がブワッと粟立つような感覚を覚えていた。
あ、これスゴい!
今までに感じたことのない音の波が全身を襲う。ただ聴いてるだけの音楽とは全然違う。
体中が興奮して熱く感じた。指先はハッキリ言って痛かったけど、そんなのどうでもいいくらい気持ちよかった。
紅志が合わせてくれているのか、音がズレることなく私はイントロの部分を弾くことができた。
ここからは歌が入ってくるはず……。
斜め前をチラリと盗み見ると、海斗がスウッと息を吸い込むのがわかった。
来る!