たまくんは、すうすうと規則正しい寝息をたてている。

たまくん疲れてるのかな。

いつも寝てる。

ふわふわと秋の少し暖かい風が窓の隙間から入ってきて、たまくんの栗色の髪を揺らす。

ふふ、猫みたい。

かわいい・・・

私はちょこんとたまくんの机に指を掛けて。

そして、もう片方の手を伸ばした。

たまくんの頭を撫でるように髪に指を滑らせる。

たまくんの髪は、一本一本が細めで柔らかかった。


「ん・・・」

「わっ!!」


私はびっくりして髪を撫でていた手を引っ込める。


「あれ、相原さん?」


私に気づいたたまくんが首を傾げた。

わあ──────っ!!

どうしよう、どうしよう。

つい、触ってみたくて触っちゃったけど。

つい・・・じゃないよ、もう!!

なにやっちゃってんの、わたし・・・

かあああっと顔に熱が籠るのを感じて、顔を両手で覆う。


「ご、ごめ・・・勝手に髪触って」

「あ──いいよ、別に」


透き通るようなその瞳が私を捉えてそう言った。

私に触られたことなんか、全く気にしていないようで、なんでか胸がちくりと痛む。