王子はにっこりと笑って、私においでおいでと手招きをしてくる。

私は呼ばれるがままに王子の前に立った。


「・・・なあに」

「希々ちゃんがこっちに来たそうだったから」

「そ、そんなことないよ」


や、やだな。そんなに顔にでてたのかな。
恥ずかしい。


「希々ちゃん、顔真っ赤だよ」


ふふ、と王子が笑って私の頭をぽんぽんと撫でる。


「・・・・・・」


座っていても、立っている私の頭を簡単に撫でられるのは、王子がすごく身長が高いってわけじゃない。

私が小さいからだ。


「やっぱり希々ちゃんかわいいなあ。ふわふわのミルクティーブラウンの髪がなんだか猫みたい、なあたま?」


えっ、それをたまくんにふるの!!?

たまくんが顔を上げて、私を見る。


「うん。ほんとだ。猫みたいでかわいい」

「っ!」


きゅんと胸が打たれる。

別に彼のことを好きだという認識はしたことがない。

だってあまり話したことない相手を好きになるなんて、おかしな話しでしょ?

でも、彼のことを知りたいと思ったの。

謎ばっかりで包まれている彼のことを知りたいと思ったの。


「あれ──今日はよく赤くなるね、希々ちゃん」