「えっと・・・椎名くん起こしにきたんだよね?」

「まあそれもあるけど、希々ちゃんに会いたくてさ。アイツはついで」

「・・・・・・」


今日も王子全開だあ・・・。


「お前5組なのに、毎日毎日うちのクラスまで来てなにやってんだよ」


王子はよくうちのクラスに来るからか、もうすっかりとうちのクラスに馴染んでいる。

正直、王子が来てくれるのは嬉しい。

だっていつも休み時間になると寝ちゃうたまくんが王子といる時だけは、すごく自然だから。


「・・・ゆき」


騒がしくなったことに気づいたのか、たまくんが目を覚ました。

でも王子はたまくんが起きたことに気づいていないらしくて。

クラスの男子や女子に囲まれて楽しそうに笑っている。


「いつ来たの?」


たまくんが一際大きな声で王子に話しかける。

そんなたまくんに王子は、「ああ、起きたの」なんて軽い返事をして、たまくんの前の席に腰掛けた。

いいな──王子。

たまくんに笑顔向けてもらえて。

前の席に自然と座れるなんて、羨ましすぎるよ。

私なんてクラスが一緒になってから一年以上経つのに、席が近くにすらなったことないのになあ・・・不公平だ。

不意に、王子と目が合った。