──
「もうそろそろ帰らないとな。」
「うん、そうだね……」
あぁ、今日が終わっちゃう。シンデレラの魔法はあと少しでとけちゃうんだ。
「……あれのらね?」
そう言って指さされた先にあったのは
「観覧車とか、ベタだけどさ。」
「……」
「いやか?」
「嫌じゃないよ」
「じゃあ行こ。」
私を引っ張るその手を離れないようにしっかり握った。
自分から言い出したことなのに、嫌だと思った。別に兄妹で遊園地行くことくらいいいんじゃないか、これからも二人で出かけていいんじゃないか。
そんな思いが私を締め付ける。
前にママが聞いてきたことがあった。
「ねぇ、彼氏とかいないの?」
「なにママ急に。」
「いや、そういう話聞かないなぁと思って。」
「……いないよ」
「好きな人も?」
「うん……。やだ、なに?」
「いや、うん。最近恋愛ものの漫画読んでてさ。いろいろ……ね、」
って。その後ママの部屋で見た漫画、兄妹の恋の話で今になってわかったけど、気にしてたのかなぁって。
ママ鋭いしおにぃの気持ちに気づいてたのかもだし。
「乗るぞ?」
あ、観覧車まできてたんだ……。
あと少しだけ魔法をかけられたままで……