二人で遠くまで旅をしてるただ遠くまで。
電車に乗ってから2時間も経たないうちに景色は全く別世界になり、どちらかともなく手を繋いだ。

そして海が見える駅で降りた。


「わーぁ。めちゃくちゃ綺麗!」

そー言って駆け出していく背中を見てまた、終わった時のことを考えてた。

「おにぃ?どーしたの?楽しくない?」

完全にぼーっとしてた俺はそう聞かれて、

「楽しくないわけないだろ?」
と答えた。

「もしかして……今日が終わったら、
なんて考えてる?」


「いや……うん。そーだよ。」

「やっぱり。今日ずーっと変だもん。」

「ねぇ、おにぃ?」

「ん?」


「わかるよ。今日終わったらやだなぁって気持ち。ほんとは私だって普通に付き合いたかった。いろいろしてみたかったよ?」

「うん。」

「兄妹じゃなかったら……なんてことも考えたよ。」

「俺はいつも思ってた。」

「兄妹じゃなかったら出逢わなかったかもしれない。だから、私はシンデレラになることにしたの。」

「…………。」

「今日しかないの。ねぇそんな顔しないで?」

「なぁ、」

「なぁに?」

「俺さ、こーやって手ぇ繋いでるだけで幸せなんだ。けどさ、1個得るともっともっとって思っちゃうんだ。」

「…………」

「でも、今日しかダメだってゆうお前の気持ちもわかる。」

「好きだ。昔からずっと好きだった。」

「私もだよ。」



「よし。じゃあ、うみまでだっしゅ!負けた方がジュースおごりな?」

「ふぇ?」

「よーいどん!」

「ずるぃ!──きゃっ、」

こーゆーなんもない所で転ぶとこも変わってない。それでも起き上がったら涙目で笑うんだ。

「なんもない所でこけんなよ、ばーか!」

「ばかじゃないよ……?」

「ん。」

俺が出した手を握って涙目で笑うお前が愛おしい。

「おにぃがじゅーすおごってね?」