朝の会が終わり、みんなががやがやと話し出したころ。


やっぱりいつもとは違ってひとりぽつんと席に座っていると、アキがやってきた。


開口一番アキは問いをかけてくる。


「……なにが?」


「え、ごめん、何を聞かれているのかすらわからない」


相変わらず抜けている。


「だーかーら、なんでキミはみんなから好奇心にあふれた目で見られてるの?何かしたの?お弁当に黒焦げの卵焼きでも入れてきたの?」


「どういうたとえだかよくわからないけど、それは違うよ!?」


「じゃあどうして?」


アキお気に入りの深緑色のストールが揺れる。一瞬視界が深緑に染まった。


数秒間答えるのをためらって、カルアはなぜか重くなった口を開いた。


「………私と恋仲になると、一生幸せになれるって噂があるらしい」


「えっ」


「私にもなんでだかはわからない」