家を出て、学校まで走る。


おしとやかに、とさっき言われたばかりなのにだ。お気に入りのスカートが風に揺れる。


カルアが通う学校は、位の高いところではない。本人の意思で、そんなお高いところ行きたくないと幼いながらに主張したからだ。


いつも通り校門をくぐって、みんなのいる教室へと入り………


そしてカルアは、自分の周りを囲む視線がいつもと違うことに気が付いた。主に男子の視線だ。


「あ、えーっと…………おはよう?」


明らかに機能までと違う好奇の目線。


耐えかねたカルアは適当な笑みをこぼして、鞄を背負いなおした。


沈黙が教室内を包む。


いつも話しかけてきてくれる友達も、何もかも。


その日を超えただけで…変わってしまった。






シトルイユ家の掟、というのは、そんなにも………重いものだったのか。